『My Favorite Things 』

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ピエル パオロ パゾリーニが社会的にも激動の時代に放った 定理’。
パゾリーニ監督が原作から映画化までを手掛けた68年の作品『テオレマ』では一人の聖性を持つ青年を通して完全に破壊されるブルジョア階級の一家を独特の手法で描いた。無神論者でマルキストであった監督の意図はキリストのように宗教的に神格化された存在へのコントラストとして人間の脆弱さを描くのではなく、むしろ何でもない一人の人間によって性的にも精神的にも内部破壊が起こってしまう人間と資本主義と社会構造の脆さ、持てる者の根拠のない安泰へのアンチテーゼそして人間が内包する’間違い’であったと思う。
しかしながら監督の意図とは逆に、現代は奪う者が明日奪われるという立場になるという危うさを含みながら奪い続け、騙す者が自らを正当化しながら騙し続ける社会を突き進んでいる。
個々に必要となるものは 決別 という ” 定理’’=テレオマだろう。
突如として姿を消したテレンス スタンプ演じる ある青年のように。

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